iDeCoの掛け金とベストな資産配分は?会社員のiDeCo活用術も解説

NISA・iDeCo

iDeCoの掛け金や資産配分について悩んでいませんか?会社員の方が効果的にiDeCoを活用するには、適切な掛け金の設定と資産配分が重要です。本記事では、2025年の制度改正を踏まえ、会社員の掛け金上限や、年代別のおすすめ資産配分、さらには運用のコツまで詳しく解説します。iDeCoを始めたばかりの方も、すでに運用中の方も、この記事を参考に自分に合った戦略を見つけてください。

iDeCoの掛け金の基本

iDeCoの掛け金は、加入者の属性によって上限額が異なります。2025年1月からの制度改正により、多くの加入者にとって掛け金の上限額が引き上げられることになりました。これにより、より多くの資金を非課税で運用できる機会が広がります。

掛け金の範囲

iDeCoの掛け金は、月々の積立額を自由に設定できます。ただし、加入者の属性によって上限額が定められています。例えば、自営業者や個人事業主の方は月額68,000円(年額816,000円)まで拠出できます。一方、会社員や公務員の方は、勤め先の企業年金制度の有無によって上限額が変わってきます。

会社員の上限額

2025年の制度改正により、会社員の方のiDeCo掛け金上限額が大幅に引き上げられます。特に、企業年金がない会社にお勤めの方は、月額23,000円から62,000円へと、実に2.7倍近く増額されます。これは年間で74.4万円もの資金を非課税で運用できることを意味します。

企業年金がある会社にお勤めの方も、企業年金の掛金と合算で月額62,000円まで拠出可能となり、iDeCoの上限は撤廃されます。例えば、企業年金に月額30,000円拠出している場合、iDeCoには月額32,000円まで拠出できるようになります。

この改正により、会社員の方々にとってiDeCoの魅力が一層高まったと言えるでしょう。老後の資産形成に向けて、より多くの資金を効率的に運用する機会が広がったのです。

おすすめの掛け金額

iDeCoの掛け金は、自分の生活状況や将来設計に合わせて柔軟に設定できます。ただし、闇雲に上限いっぱいまで拠出すればよいというわけではありません。ここでは、年代別の目安と、生活状況による調整のポイントをお伝えします。

年代別の目安

20代の方は、まだ収入が少なく、結婚や住宅購入などの大きな出費が控えている可能性があります。そのため、月額12,000円程度から始めるのがおすすめです。生活に余裕ができたら、徐々に増額していくとよいでしょう。

30代になると、ある程度収入も安定してきます。この時期は月額20,000円程度を目安に設定してみましょう。ただし、子育てや住宅ローンなどの支出が増える時期でもあるので、無理のない範囲で調整することが大切です。

40代以降は、可能であれば月額30,000円以上を目指すとよいでしょう。老後までの期間が短くなってくるため、より積極的な資産形成が求められます。ただし、教育費などの支出も増える時期なので、家計のバランスを考えながら設定することが重要です。

生活状況による調整

掛け金額を決める際は、自分の生活状況をしっかりと見極めることが大切です。例えば、住宅ローンを抱えている場合は、返済額とのバランスを考慮しましょう。また、子どもの教育費が必要な時期は、一時的に掛け金を減額するなど、柔軟な対応が求められます。

逆に、昇給やボーナスなどで収入が増えた場合は、掛け金の増額を検討してみるのもよいでしょう。ただし、急激な増額は避け、段階的に調整していくことをおすすめします。

また、iDeCoの掛け金は年に1回変更できます。ライフステージの変化に合わせて、定期的に見直すことが大切です。例えば、結婚や出産、転職などの大きな変化があった際は、必ず掛け金額を再検討しましょう。

会社員のiDeCo活用術

会社員の方がiDeCoを効果的に活用するには、企業年金との併用や税制メリットの最大化がポイントとなります。ここでは、会社員ならではのiDeCo活用のコツをお伝えします。

企業年金との併用

多くの会社員の方は、企業年金制度に加入しています。iDeCoは企業年金と併用することができ、それぞれの特徴を活かした資産形成が可能です。

例えば、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している場合、iDeCoの掛け金上限は月額20,000円となります。この場合、企業型DCで安定的な運用を行いつつ、iDeCoでは少し積極的な運用を行うなど、リスク分散を図ることができます。

また、確定給付企業年金(DB)に加入している場合も、iDeCoを併用することで、より柔軟な資産形成が可能になります。DBは運用リスクを会社が負うため安定的ですが、自分で運用を決められるiDeCoと組み合わせることで、自身のリスク許容度に応じた資産形成ができます。

税制メリットの最大化

iDeCoの大きな魅力は、掛け金が全額所得控除の対象となる点です。つまり、iDeCoに拠出した金額分だけ、課税対象となる所得が減ります。この税制メリットを最大限に活用するには、自身の所得税率を考慮して掛け金を設定することが重要です。

例えば、年収が700万円の方が月額20,000円(年間24万円)をiDeCoに拠出すると、所得税と住民税合わせて約7万円の節税効果が得られます。これは実質的に、7万円の運用資金が上乗せされるのと同じ効果があります。

また、iDeCoは運用益が非課税となるため、長期的な複利効果も期待できます。例えば、30年間にわたって年利3%で運用した場合、税引後の運用益は通常の投資の1.5倍以上になるという試算もあります。

さらに、iDeCoは60歳以降に受け取る際も税制優遇があります。年金として受け取る場合は公的年金等控除が適用され、一時金で受け取る場合は退職所得控除が適用されます。ただし、受取方法によって税負担が変わるため、自身の状況に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。

iDeCoの資産配分戦略

iDeCoで効果的に資産を増やすには、適切な資産配分が欠かせません。ここでは、リスク許容度による配分の考え方と、年齢に応じた調整のポイントをお伝えします。

リスク許容度による配分

資産配分を考える際、まず自身のリスク許容度を把握することが重要です。リスク許容度とは、投資におけるリスクをどの程度受け入れられるかを表す指標です。

リスク許容度が高い場合は、株式の比率を高めに設定することができます。株式は短期的には価格変動が大きいものの、長期的には高いリターンが期待できます。例えば、リスク許容度が高い20代や30代の方であれば、全体の70%程度を株式に配分するのも一つの方法です。

一方、リスク許容度が低い場合は、債券や定期預金などの安定的な資産の比率を高めるのがよいでしょう。これらの資産は株式に比べてリターンは低いものの、価格変動が小さく安定的です。例えば、50代以降の方や、リスクを抑えたい方は、全体の60%程度を債券に配分するのも一案です。

ただし、リスク許容度は個人の性格や経済状況によっても異なります。自分に合った配分を見つけるには、専門家に相談したり、オンラインの診断ツールを活用したりするのもよいでしょう。

年齢に応じた調整

資産配分は、年齢とともに徐々に調整していく必要があります。一般的に、若いうちはリスクを取りやすく、年齢を重ねるにつれてリスクを抑える傾向にあります。

例えば、20代や30代の若い世代では、株式の比率を70%以上に設定し、積極的な運用を行うことができます。この時期は運用期間が長いため、短期的な価格変動を恐れず、長期的な成長を狙うことが可能です。

40代になると、徐々にリスクを抑え始めます。株式の比率を60%程度に下げ、その分を債券や安定的な資産に振り分けるのがよいでしょう。

50代以降は、さらにリスクを抑え、安定性を重視した配分に移行します。株式の比率を40%程度まで下げ、残りを債券や定期預金などの安定資産に配分するのが一般的です。

ただし、これはあくまで目安であり、個人の状況や目標によって適切な配分は変わってきます。定期的に自身の状況を見直し、必要に応じて調整を行うことが大切です。

具体的な資産配分例

iDeCoの資産配分を考える際、具体的なイメージを持つことが大切です。ここでは、安定志向の配分と成長重視の配分の2つの例を紹介します。自分の目標やリスク許容度に合わせて、参考にしてみてください。

安定志向の配分

安定志向の資産配分は、リスクを抑えつつ着実な資産形成を目指す方におすすめです。具体的には、以下のような配分が考えられます。

  • 国内債券:40%
  • 先進国債券:20%
  • 国内株式:20%
  • 先進国株式:15%
  • 新興国株式:5%

この配分では、債券の比率を60%と高めに設定しています。債券は株式に比べて価格変動が小さく、安定的なリターンが期待できます。特に国内債券は為替リスクがないため、最も安定的な資産と言えます。

株式は合計で40%としていますが、その中でもリスクの高い新興国株式の比率は抑えめにしています。これにより、ある程度の成長性を確保しつつ、全体的なリスクを抑える効果が期待できます。

この配分は、50代以降の方や、リスクを抑えたい方に適しています。ただし、インフレリスクには弱い面があるため、経済状況に応じて調整が必要かもしれません。

成長重視の配分

成長重視の資産配分は、多少のリスクを取ってでも高いリターンを目指す方におすすめです。具体的には、以下のような配分が考えられます。

  • 国内株式:30%
  • 先進国株式:35%
  • 新興国株式:15%
  • 国内債券:10%
  • 先進国債券:10%

この配分では、株式の比率を80%と高めに設定しています。特に成長が期待される先進国株式と新興国株式の比率を高くしています。株式は長期的に見れば高いリターンが期待できますが、短期的には大きな価格変動があることを覚悟する必要があります。

債券は合計で20%と低めの設定ですが、これはポートフォリオ全体のリスクを少し抑える役割を果たします。また、株式市場が下落した際の緩衝材としての機能も期待できます。

この配分は、20代や30代の若い世代や、リスクを取れる方に適しています。ただし、価格変動が大きいため、定期的な見直しと必要に応じたリバランスが重要です。

iDeCo運用の注意点

iDeCoは長期的な資産形成に適した制度ですが、効果的に活用するには注意すべき点があります。ここでは、定期的な見直しの重要性と、手数料への注意点をお伝えします。

定期的な見直し

iDeCoの運用は、一度設定したら終わりではありません。定期的な見直しが重要です。具体的には、以下のようなタイミングで状況をチェックし、必要に応じてリバランスを行うことをおすすめします。具体的には、年に一度は運用商品のパフォーマンスを確認し、当初設定した資産配分から大きくずれている場合は、調整を検討しましょう。

ただし、頻繁な見直しや変更は避けるべきです。iDeCoは長期的な資産形成を目的とした制度であり、短期的な市場の変動に一喜一憂して頻繁に運用方針を変更することは、かえって運用効率を下げてしまう可能性があります。むしろ、下落局面でも冷静に判断し、長期的な視点を持って運用を続けることが重要です。

手数料への注意

iDeCoを運用する上で、手数料にも注意を払う必要があります。iDeCoには、運営管理機関手数料、口座管理手数料、信託報酬などさまざまな手数料が発生します。これらの手数料は、長期的な運用においては無視できない影響を与える可能性があります。

特に、運用商品を選ぶ際は、信託報酬に注目しましょう。信託報酬は、投資信託の運用にかかる費用で、年率で表示されます。例えば、信託報酬が年1.5%の商品と0.5%の商品では、長期的には大きな差が生じる可能性があります。

また、スイッチング(運用商品の売却と購入)を行う際にも、一部の商品では信託財産留保額という手数料がかかることがあります。頻繁なスイッチングは、これらの手数料によって運用効率を下げてしまう可能性があるため、慎重に判断する必要があります。

手数料が安ければ良いというわけではありませんが、同じような運用方針の商品であれば、できるだけ手数料の低い商品を選ぶことで、長期的な運用成果を高められる可能性があります。

まとめ

iDeCoは、老後の資産形成に向けた有効な手段ですが、効果的に活用するためには適切な掛け金の設定と資産配分が重要です。会社員の方は、2025年の制度改正により掛け金の上限額が引き上げられることを念頭に置き、自身の生活状況や将来設計に合わせて掛け金を設定しましょう。

資産配分については、年齢やリスク許容度に応じて適切に調整することが大切です。若いうちはリスクを取りやすい傾向にありますが、年齢を重ねるにつれてリスクを抑えていく必要があります。具体的な資産配分例を参考に、自分に合った戦略を立てましょう。

また、iDeCoの運用においては、定期的な見直しと手数料への注意が欠かせません。年に一度程度の見直しを習慣化し、必要に応じてリバランスを行うことで、効率的な運用が可能になります。同時に、各種手数料にも注意を払い、長期的な視点で運用効率を高める工夫をしましょう。

iDeCoは自己責任での運用が求められますが、適切に活用すれば老後の資産形成に大きく貢献する可能性があります。この記事で紹介した内容を参考に、自分に合ったiDeCo運用を実践してみてください。

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